Distance -我が人生に悔いあり- Written by Takeshi.T
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Episode 03
4月―。中学入学式。
真っ白なスニーカーに、真っ白なソックス。まだどことなく不似合いな制服を身にまとった新入生たちの中、一際目立つ中ランにボンタン姿の一団。私はその中にいた。
普通は入学早々そんなものを着ていれば、先輩に呼び出されて裸にされるのがオチ。
しかし私には、心強い存在がいた。
一緒に入学した幼馴染の久志には2つ年上の兄貴がいた。
その兄貴というのが、それはそれは恐ろしい人で、彼がこの中学の覇権を握っていた。
彼は私たちの入学にあたり「弟とその仲間には手を出すな」というありがたい法を発令。
そして同級生には、少年野球チームで一緒だった他の小学校の仲間も大勢いたこともあり、同学年の中にも敵が存在しないという恵まれた環境(?)で、新たな生活をスタートすることになったのである。
とりあえず野球部には入部してみたものの、ほとんど顔を出すことはなく、仲間たちとつるんで遊びまわってばかりいた。
中学での遊びは小学生の時のようなカワイイ遊びではなく、恐ろしい先輩たちに教えてもらっていたのでそれは恐ろしい遊びばかりだった。(あまりにヒドすぎてここには書けませんが…。)
このスリリングな生活が楽しくて仕方なかった私の帰宅時間は日に日に遅くなり、恒例となっていた家族との麻雀から、どんどん遠ざかっていった。
私の中ではかなり前から家族との麻雀はつまらないものになっていた。母と兄の雀力が私と離れすぎていたからだ。
先輩や仲間の中で麻雀ができる奴を探してみたものの、「ファミコンでなら」とか「ゲーセンで」はまだマシな方で、とても楽しくできそうな奴はいなかった。
私は仕方なく、仲間6人くらいを集めて麻雀を教えることにした。
しかし…。こんな奴らがまともに人の話など聞くはずもなく、
「わかんね~よ!」
「なんで鳥が1なんだよ!」
「この春とかは使わね~わけ!?」
とか、質問をしてきたと思えば、
「もういいよ~」
「やめよ~ぜ~」
「裏ビデオみる?」
などとすぐ飽き始める始末…。
しかし私は、自分が楽しく遊びたいがためだけに、彼らに地道に麻雀を教えていった。
教え始めて1ヶ月ほど経った頃、私の地道な努力が実り、ようやくゲームとして機能するところまで辿りつくことができた。
これまで私は教えることに徹し、彼らが遊んでいる間も審判的役割をしてきたのだが、少しづつ自信をつけていった彼らは、遂に私に挑戦状を叩きつけてきた。
(それでは見せてやりますかね…。俺様の実力を!)
真打登場とばかりに不敵な笑みを浮かべながら空いた席に腰を下ろし、素早く牌を混ぜ、あっという間に20トンくらいの山を完成させる。
「おおおおお!?スゲ~!!」
「当たり前だよ!キャリアが違うんだよ。キャリアが。」
この日私は、羨望のまなざしを向けるギャラリーを背負い、思いっきり優越感に浸りながら、久し振りの麻雀を楽しんだ。
(これでいつでも麻雀ができる!)
まさに理想的な展開に持ちこめた瞬間だった。




