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Distance -我が人生に悔いあり- Written by Takeshi.T

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Episode 02

私が所属していた少年野球チームは、毎年夏休みにキャンプを行っていた。
キャンプといっても強化キャンプのようなものではなく、海で泳いだり山で遊んだり、キャンプファイヤーをしたりと、父兄も参加して楽しく過ごす夏の一大イベントでした。

昼間遊びまくった疲れから、友人のほとんどが早めに床についてしまった中、まだまだ元気が有り余っていた私は、悪友であった青松と一緒に旅館の中の探険に出かけた。

そして父兄の部屋の前に差し掛かったその時、私の耳にあの音が飛び込んできた。

ジャラ、ジャラ、ジャラ…。

(麻雀だ!!)

ドアを開けてみると、そこにいたのは私の父とチームの監督、チームメイトの浜の親父さんと秋田の親父さんだった。
大人たちの「早く寝ろ!」の言葉を無視して部屋に上がりこんだ私は、父の後ろに陣取りギャラリーを決め込んだ。

私はそこで驚きの光景を目の当たりにする。

それは私の知っている麻雀ではなかった。
打牌速度、牌捌き、まるで違うゲームを見ているようだった。
とても「俺にもやらせて」などとは言える雰囲気ではない。
私は、目の前で驚異的なスピードで繰り広げられる麻雀に圧倒されながら、戦う父の後姿をドキドキしながら見つめていた。

半荘も終盤に差し掛かったころ、食い入るように見つめていた私に父が「一局だけ打ってみるか?」と席を譲ってくれた。

「う…うん…。」

高鳴る鼓動、汗ばむ手、親父さんたちが声をかけてくれるが全く耳に入らない。
夢中で牌を混ぜ、いつものように牌を積む……が積めない…。
いつも練習していたはずなのに、8トンくらいの牌山を相手に手をプルプルさせていた。
なんとか積み上げた私の短い牌山に、隣の監督が山を付け足してくれる。
いつもは怖い監督が、この時ばかりは神様のように見えた。

そして開局―。
手の震えは止まる気配がない。
談笑しながら打ち進める親父連中の先ヅモによる驚異的なスピードに、歯を食いしばりながら懸命について行く。
秋田の親父さんからリーチがかかるが、オリるということなど教わっていない私は、自分の牌だけに集中し、敢然とリーチに向かっていった。
後ろで見ていた父は、さぞヒヤヒヤしたことだろう。

15巡目。自分の最後のツモ牌にしてようやくテンパイ。しかしリーチはかけられない。

(和了らないでくれ!)

祈りながらハイテイ牌を睨む…。

流局―。3人テンパイ。

(親父!やったよ!1000点増やしたよ!!)

そんな気持ちで振り返った私に、父は微笑みながら何度も頷いてくれた。

部屋に戻った私は、興奮冷めやらず、布団の中でひとり考えていた。
苦しかった…。辛かった…。でもドキドキした…。
あれがホントの麻雀…? あんな麻雀が打ちたい…。そのためには…

(スピードアップだ!!)

これを境に、私の麻雀は「お遊び麻雀」から「戦う麻雀」に変化していくことになる。


この頃の私は、盲牌、山積み、手作りといった上手くなるための練習だけではなく、時には洗牌やガン牌の補修などもした。
昔の麻雀牌には白が4枚余分に入っており、傷がついた牌の代わりに、白に彫刻刀で文字を彫って使ったりもしていた。

その思い出の詰まった麻雀牌は、今も父が大事に保管している。

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